不妊治療を続けていると、妻の体調や感情の波に寄り添いながら、「夫としてどう動けばいいのか」わからない時が多々あります。
不妊治療中の夫ってほんとにどうしたらいいかわからないんです。
もちろん妻の苦しみに比べれば些細なことですが、世の夫の方も同じように苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。
不妊の原因は僕にもありますが、僕は日々に苦しむことなく過ごせてしまいます。
先日4度目の胚移植を迎えました。
胚移植前後で身体も精神も負担を一手に担う妻が、不安を吐露したとき、すごく落ち込んでいるとき、励ますのがいいのか、一緒に落ち込むのがいいのか、妻の欲しい言葉を言い当てるのはとても難しいです。
特に不安になりやすい、胚移植前~妊娠判定にかけては、夫の対応としても緊張感がひとしおです。
そんな移植前後ですが、僕たち夫婦はちょっと変わった過ごし方とまた、ちょっと変わったジンクスを持っています。
参考までにまとめてみましたのでご紹介します!
これまでの人生で得た妻の成功ジンクス

移植前~妊娠判定までの過ごし方について、ネットには「前向きに支える」「希望を捨てない「といった言葉が並びますが、実はそれが妻の負担になっているケースもあります。
そう、それがうちの妻のケースです。
妻は僕に希望を持ってほしくないたくないタイプで、「きっと妊娠してるよ」とか「大丈夫」など励ましの言葉をとても嫌います。
妻には人生経験上のジンクスがあるようです。
それは 「望んでいない時こそ訪れてしまう」というもの。
例えば「流産を望まない→流産」、「妊娠を望まない→妊娠」といった具合。
つまり「期待すればするほど遠ざかってしまう」というのがこのジンクスのようです。
「しっかり準備したから大丈夫」
「うまくいっているはず」
きっとそんな期待が大きいときに、裏切られてきたような経験があるんだと思います。
確かに期待が大きいときに裏切られるのは心の傷も大きいものです。
そんなことがジンクス化した中で、妻だけでなく、僕が期待することも失敗につながるというイメージになってしまったようです。
期待しないことは2人の間で大事なルールになりました。
妻のジンクス「期待はNG」

しかし不妊治療との相性は最悪で
妻は普段とても明るく心に素直で、心の中はすごく繊細です。
エンターテイナーな一面もありますが、「人の期待に応えなきゃいけない」「人を失望させてはいけない」過度な自己プレッシャーの中おどけているようなところがあります。
そんな彼女にとって、この不妊治療のプレッシャーは心を蝕みながらに大きくなり、押しつぶされそうになっています。
努力が結果に直結せず、結果が運に左右される不妊治療です。
「そんなに自分を責める必要があるのだろうか」と僕は思ってしまうのですが、きっとそういうことではないのでしょう。
「うまくいかないことがあっても貴方のせいではない」という話も何度もしていますが、心はそんな簡単なものではないようです。
実家からのほんのりと感じる期待、僕を失望させないためのプレッシャー、そして彼女自身の希望。
他人からの期待を敏感に察知し、背負ってしまうからこそ、ダメだったこれまでの3回の反動が大きすぎて、心が崩れてしまいます。
まただめかもしれないという不安で妻は常に押しつぶされそうです。
さらに、保険適用の回数も決まっていて、結果を見るまでにも心と身体に大きな負担がある不妊治療と、期待NGのジンクスは非常に相性が悪い。
妻のジンクスとこれまでの治療でうまくいかなかった体験が呪いのように妻に降り注いでいるように感じます。
だから僕もどれだけ胸の奥で祈っていても、
「きっと大丈夫」「妊娠しているよ」
といった言葉は口にしないようにしました。
むしろ「子供はいてもいなくてもどっちでもいいよ」などといった、傍から見れば一見冷たいような言葉が飛び交っていましたが、僕たちからすれば妻を守るために必要なことでした。
夫が気をつけた3つのこと

① 期待しないこと
1つ目はやはり「期待しない」です。
前述の通り期待は妻にとっては負担にもなります。
ジンクスという形であっても、「期待を煽らない」と決めておくことで、妻の心が安定しやすくなっていると思います。
②いつも通りの生活を保つ
移植日だからといって特別に扱いすぎないこと。
変に気合いを入れたり、妙に優しくしすぎたりすると、期待を意識させてしまうことがあります。
- 話し方もいつも通り
- 過度に気遣いすぎない
- 移植を特別なイベント扱いにしない
この普通さが、妻に移植のことを過度に気にさせなかった気がします。
③妻の気分を乱さない
意見を押しつけない、余計なコメントをしない、気持ちの浮き沈みに寄り添う。
余計な波を立てないようにという意識でアンテナを張り続けています。
不妊治療中においては、というか家庭において妻が安定しないとうまくいかないと考えています。
どんな時も妻の考え方を尊重し続け、怒らせないこと、荒波を立てないことを優先しているつもりです。
胚移植前後、夫にできることは「空気作り」だけ

移植前後は、妻が自分の体に敏感になりやすい時期です。
妻にできることが少ない以上に、夫にできることはありません。
しかし妻に背負っているというのは想像以上に無力感が溢れます。
できることは本当に少ないですが、必死に探しています。
- 体調の変化などを聞きすぎない
- ネットの成功体験を持ち込まない
- 必要以上に励まさない
- でも、そっと寄り添う空気は保つ
僕ができる中でいちばん大切なのは、妻が安心して呼吸できるような空気を保つことだと考えています。
大前提ですが、家事をちゃんとやるのは結構ポイントかも。
もしダメだったら犬を迎えよう——ふたりの救いになっている希望

期待はNGでも、まったく希望がない状態はあまりにも苦しいものです。
そこで私たちが話したのが、「犬を飼おう」という約束でした。
元々不妊治療を始める前から、「子供ができなかったら犬か猫を飼おう」と話はしていました。
しかし今回は本格的に、犬や猫と触れ合える場所に行ってみたり、実際にペット可物件を探しに行ったり、犬と暮らせる生活をイメージできるように動いてみました。
「犬や猫も命なんだから代替のように軽々しく言うな」と思った方、申し訳ございません。
でも我々にはそれだけの新たな希望が必要なのです。
とはいえ妊娠を諦めたという意味ではありません。
「結果がどうであれ、私たちの未来にはあたたかさがある」という、2人の心の拠り所になっています。
この話があったからこそ、結果を待つこの長い時間も、僕も妻も気がまぎれていると思います。
まとめ:不妊治療に正解はない。だからこそ夫婦の形を大切にする
不妊治療は、医学的には合理的でも、心理的にはとても不合理な世界です。
同じやり方が別の夫婦には合わなかったり、反対にジンクスが救いになることもあります。
大切なのは、
「夫婦が生きやすい形をふたりで作ること」
「それを守ることで心の安全を保つこと」
だと思っています。
期待しないというジンクスも、
犬の存在を未来の希望にすることも、
他の誰かから見れば不思議かもしれません。
でも、それで妻の心が守られ、ふたりが前を向けるなら、それがその夫婦にとっての正解なんだと思います。



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